内閣官房と外交(安全保障)について(その38)

さて二年ほどご無沙汰しておりましたが、久々ぶりに。
国家安全保障会議も名実ともに我が国の国家安全保障の決定機関になってきました。

ところで、世間を今一番にぎわせているのは日本年金機構に対して、サイバー攻撃が行われ個人情報が流出したという事件です。
この事件は、「内閣官房と外交」というよりも「内閣官房と安全保障」というほうが正しいのかもしれませんが、とりあえず、これまで書いてきた「内閣官房と外交」のシリーズで書きます。

さて、この情報流出をはじめに感知したのが「内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター」という組織です。
この「内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター」という組織はほとんどの人にとっては初耳だと思いますので、今回はその解説でも。
まず名称ですが、正式名称は、「内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター」であり、よく報道で「サイバーセキュリティセンター」と書いていたり、内閣官房サイバーセキュリティセンターと書いていたり、しますが、正式には上記の通り、「内閣官房」と「内閣」がつきます。つまり「内閣」という単語は二回つくということです。
ただ、この正式名称では長すぎるので、これからは「内閣官房」をとって「内閣サイバーセキュリティセンター」で統一します。
「内閣サイバーセキュリティセンター」の前身の組織は「情報セキュリティセンター」という組織でしたが、この前進の組織は、内閣総理大臣決定によっておかれていただけであり、各省庁に対する権限は非常に小さいものでした。
「それじゃぁ、我が国のサイバーセキュリティの確保はどうなるんだ!」という声が起こり、昨年「サイバーセキュリティ基本法」が成立し、まず内閣に我が国のサイバーセキュリティの確保の司令塔となる、内閣官房長官をトップとする「サイバーセキュリティ戦略本部」*1を設置し、同時に、政令である内閣官房組織令の中に、「内閣サイバーセキュリティセンター」*2を置いて、法的な権限を明確にして、各省庁に対する権限を強化したわけです。
「内閣サイバーセキュリティセンター」は、英語では、「National center of Incident readiness and Strategy for Cybersecurity」というそうですが、日本語を素直に英語に訳すと、「National Cybersecurity Center」となる気がします。

さて、今回は、あまり知られていない「内閣サイバーセキュリティセンター」の組織ができるまでについて、書きましたが、実際にこの組織は何をやっているのかについてはまた次回ということで。

それと、我が国のサイバーセキュリティの基本を定めているサイバーセキュリティ基本法と、「内閣サイバーセキュリティセンター」の根拠となっている内閣官房組織令のリンクを付けておきます。
ご興味のある方はどうぞ。
サイバーセキュリティ基本法(平成26年法律第104号)
内閣官房組織令(昭和32年政令219号)第4条の2

*1:この本部の本部員は大臣と有識者

*2:この組織の構成員は各省庁から出向してきた者と民間企業から出向してきた者