内閣官房と外交について(その34)

日本版NSC設置法案が、今通常国会に提出されるとの報道がありましたが、その後特段音沙汰がありませんが、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付の部署では、こつこつ内閣法制局と調整をしているのでしょう。原案は、第一次安部内閣のときにできていますしね。
第一次安部内閣のときの案でいくとしたら、前述した内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付の人が全員国家安全保障会議事務局の職員になるってことですね。
となると、組織は変わるが中の人が変わりませんからどうなのかと思っているのですが、今回は、所掌事務におそらく「企画、立案及び総合調整」以外の「情報収集、分析」というのを入れそうな気もするので、今までのただ事案対応して情勢分析は各省庁、特に外務省、防衛省任せとはいかないので、専門家をこの2省から引き抜いてこないといけないと思うのですが、中々出さない気もします。優秀な分析官はやはり自分の手元に置いておきたいというのが各省庁の本音でしょうから。加えて、国家安全保障会議を作ったとして、頭しかない組織になるのも痛いと思います。米国の国家安全保障会議のように200人くらい人をつけるなら別ですが、今の内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付の部署の人間だけを、日本版NSCにあてるとなれば事案対応だけで手一杯で、その上、情報収集、分析のノウハウなんて持っている人は少なそうですから、定員を増やさなければいけないのですが、この財政状況で大幅な定員増を総務省行政管理局と財務省主計局が許すのかどうか。ここで常識的に考えると許しそうにないので、そうだとすれば、結局名前だけ変わって中身は変わらないというどうしようもない状況になります。
内閣法制局総務省行政管理局、財務省主計局という3つの壁と仮にそれらの壁を乗り越えた後の、外務省、防衛省警察庁という3省庁からの出向者の人だしの問題、これが行政内部での課題でしょうか。
ぱっと考えて、思いつく課題はこれくらいです。
こんなことは中の人は当然分かっていると思いますが、体に気をつけて頑張ってください。

それとこのブログ読んでいる方がどれくらいいるかわかりませんが、役に立つかもしれない本を下記に紹介します。
去年までは、ああ、マニアックすぎて、これは1刷で絶版だなと思っていたのですが、日本版NSCが話題になったので絶版にならないかもと思い始めました。ただ、買っておいたほうが精神衛生上いいです(笑)

NSC国家安全保障会議―危機管理・安保政策統合メカニズムの比較研究

NSC国家安全保障会議―危機管理・安保政策統合メカニズムの比較研究